ジェフ・ベック 使用ギター徹底解説|象徴的モデル+代替候補【年表付き】
常に音の限界を押し広げ続けたギタリスト、Jeff Beck(ジェフ・ベック)。
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本記事では、彼のサウンドを形づくった5本の象徴的ギターを、
年代順にわかりやすく徹底解説する。
この記事を読めば、ジェフ・ベックの音作りがどんなギターから生まれたのかが一目でわかる。
ヤードバーズから孤高のソロ期まで——ジェフ・ベックは時代ごとに“音の器”を乗り換えながら、
常にギターの表現領域を押し広げてきた。本記事は、彼を象徴する5本を軸に、
年代別の実使用例・代表曲・入手ルートと代替候補まで一気に整理する。
ジェフ・ベック 使用ギター年表
年代 | 使用ギター | 特徴・代表曲 |
---|---|---|
1965– | Fender Esquire(1954) | ヤードバーズ初期。「Heart Full of Soul」「Shapes of Things」 |
1968– | Gibson Les Paul Standard(1959) | 『Truth』期。「Beck’s Bolero」 |
1973– | Gibson Les Paul “Oxblood”(1954改) | 『Beck, Bogert & Appice』。「Cause We’ve Ended As Lovers」 |
1974– | Fender Telecaster “Tele-Gib” | 『Blow by Blow』。「Cause We’ve Ended As Lovers」 |
1993–2023 | Fender Jeff Beck Stratocaster | 晩年のメイン。「Where Were You」「Brush with the Blues」 |
年代別詳細解説|ジェフ・ベックを象徴する5本のギター
時代ごとにギターを使い分けながらも、常に“人の声のようなギター”を追求してきたジェフ・ベック。
① 1954 Fender Esquire|原点を刻んだヤードバーズ期の刃
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1965年、ヤードバーズ加入直後に入手した1ピックアップ仕様のEsquire。
一時盗難に遭うも奇跡的に戻ってきた逸話は有名だ。
音色:メイプル指板による明瞭で硬質なトーン。ピッキングの強弱に鋭敏で、まるで歪んだテレキャスのような攻撃性を持つ。
代表曲:「Heart Full of Soul」「Shapes of Things」「Over Under Sideways Down」
このギターはヤードバーズ期のサウンド=“英ブルースロックの出発点”そのもの。
現在はFender Custom Shopが同仕様のEsquire Reissueを限定販売している。
② 1959 Gibson Les Paul Standard|“Truth”を支えた炎のトーン
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1968年、Cheap TrickのRick Nielsenからわずか$350で購入したフレイムトップのLes Paul。
音色:PAFハムバッカー特有の立体感と甘い中域。
特徴:メイプルトップ+マホガニーバックの黄金構成。サスティンの長さは当時の録音でも際立つ。
代表曲:「Beck’s Bolero」「Morning Dew」
現在はGibson Custom Shopが「1959 Les Paul Standard Reissue」を製作中。
手に届く代替としてはEpiphone 1959 Les Paul Standardが人気だ。
③ 1954 Gibson Les Paul “Oxblood”|改造が生んだ孤高のトーン
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1973年、Memphisの老舗楽器店“Strings and Things”で偶然見つけた一本。
元は1954年製Goldtopだったが、P-90をハムバッカーに交換し、深いオックスブラッドカラーに再塗装されていた。
音色:力強くもスモーキーなトーン。シングルでは出せない厚みを持ちながら、
ベック特有のトレモロ奏法と相まって“泣くような音”を実現。
代表曲:「Cause We’ve Ended As Lovers」「Freeway Jam」
このモデルはGibson Custom ShopからJeff Beck Signature Oxblood Les Paulとして復刻。
高額だが中古市場で流通がある。手頃な代替ならEpiphone Les Paul Standard ’50sが狙い目。
④ 1959 Fender Telecaster “Tele-Gib”|セイモア・ダンカンとの運命
Chris Hakkens – https://www.flickr.com/photos/chris_hakkens/5108268529/in/set-72157625101476135/, CC 表示-継承 2.0, リンクによる
『Blow by Blow』(1975)の録音期に、ピックアップ職人Seymour Duncanが手渡した改造テレキャスター。
エピソード:ベックはこれを受け取る代わりに、自身のEsquireをSeymourに譲渡。後に“人生最大の後悔”と語っている。
Tele-Gibは市販されていないが、Warmothなどのパーツブランドで自作が可能。
現行機で最も近いのはFender Player Telecaster HH(約12万円前後)。
⑤ Fender Jeff Beck Stratocaster|晩年の魂が宿る最終形
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1991年の初代モデル登場以来、ジェフ・ベックが最後まで弾き続けたシグネチャー・ストラト。
音色:繊細なタッチをそのまま増幅する“人声的”な表現力。ハーフトーンでの艶やかなクリーン、
ビブラートでの滑らかな伸びはまさに彼の代名詞。
代表曲:「Where Were You」「Nadia」「Brush with the Blues」
現行のFender Jeff Beck Signature Stratocasterはサウンドハウス・島村楽器で常時取扱あり。
より手頃な代替としてはFender Player Plus Stratocasterが人気。
入手困難モデルと代替候補|ジェフ・ベック愛用ギターを今の時代に手に入れる
オリジナルのベック愛用モデルは、ほとんどが60年代ヴィンテージやカスタム改造機。
しかし近年は、GibsonやFenderがそれらをベースにした復刻版やシグネチャーモデルを展開しており、
現実的な価格で“ジェフ・ベック・トーン”を体験できるようになっている。
オリジナルモデル | 現行復刻・シグネチャー | 手頃な代替候補(〜15万円) |
---|---|---|
1954 Fender Esquire | Fender Custom Shop Esquire Reissue | Fender Vintera Telecaster / Fender Player Telecaster |
1959 Gibson Les Paul Standard | Gibson Custom Shop 1959 Les Paul Standard Reissue | Epiphone 1959 Les Paul Standard(約12万円) |
1954 Gibson Les Paul “Oxblood” | Gibson Jeff Beck Oxblood Les Paul(Custom Shop) | Epiphone Les Paul Standard ’50s |
1959 Fender Telecaster “Tele-Gib” | 非売品(Seymour Duncan製作) | Fender Player Telecaster HH / Warmoth DIY Kit |
Fender Jeff Beck Stratocaster | 現行Fender Jeff Beck Signature Stratocaster | Fender Player Plus Stratocaster |
※価格は執筆時点(2025年10月)での平均相場。入荷時期や仕様変更により変動あり。
各ショップの正規ルートで購入することを強く推奨する。
まとめ|ジェフ・ベックの音はギターが語る
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EsquireからStratocasterまで、ジェフ・ベックのキャリアはギターの進化そのものだった。
彼の音の根底にあるのは「ギターで感情を語る」という信念。
技術ではなく、指先の感情をそのまま弦に伝えることが彼の音楽の核心だ。
それぞれの特徴を理解すれば、あなた自身のギターサウンドにも新しい発見が生まれるはずだ。
よくある質問(FAQ)
Q1. ジェフ・ベックが一番愛用したギターは?
晩年のメインは Fender Jeff Beck Stratocaster。ほぼ全ライブで使用。
Q2. “Oxblood” Les Paulはどこで買える?
Gibson Custom Shopの限定復刻モデル。中古ではReverbなどで流通。
Q3. 初心者がベック風サウンドを出すには?
Fender Player Plus Stratocaster+軽いビブラート練習から始めよう。
参考文献・出典
- GroundGuitar – Jeff Beck’s Guitars and Gear
- Guitar World – Jeff Beck Interview & Gear Feature
- Seymour Duncan Official Blog – “The Story of the Tele-Gib”
- Gibson & Fender 公式アーカイブ
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